Excelでできる!データ分析前の「整理」の基本【入門】
はじめに:なぜデータ整理が必要なのでしょうか?
データ分析を始めようと思ったとき、目の前にあるデータがすぐに分析できるきれいな状態であることは稀です。多くの場合、不要な情報が含まれていたり、形式がバラバラだったりします。
想像してみてください。ぐちゃぐちゃに物が散らかった部屋では、目的の物をすぐに見つけられませんよね。データも同じです。整理されていないデータでは、正確な分析ができなかったり、分析に膨大な時間がかかってしまったりします。
この記事では、未経験の方が「データ分析、どこから手を付ければいいの?」と感じたときに、まず取り組むべき「データ整理」の基本について、身近なツールであるExcelを使った簡単な方法を中心にご紹介します。難しい専門知識は一切不要です。
データ整理とは?分析しやすいデータに整えること
データ整理とは、データ分析を効率的かつ正確に行うために、データを分析に適した形に加工・編集する作業全般を指します。データ分析のプロセスにおいては、最初の非常に重要なステップとなります。
具体的には、以下のような作業が含まれます。
- 不要なデータを取り除く
- データの並び順を整える
- 間違っている可能性のあるデータを修正する
- バラバラな表記を統一する
これらの作業を行うことで、データが見やすくなり、その後の分析作業がスムーズに進みます。
なぜデータ整理が重要なのか?
データ整理を怠ると、どのような問題が起こるのでしょうか。
- 分析結果が不正確になる可能性がある: 間違ったデータや重複したデータが含まれていると、計算結果や集計結果が歪んでしまい、誤った結論を導き出す危険性があります。
- 分析に時間がかかる: データの形式がバラバラだったり、不要なデータが多かったりすると、分析ツールの操作が複雑になったり、手作業での修正が増えたりして、無駄な時間を費やすことになります。
- データの意味を理解しにくくなる: 整理されていないデータは、ぱっと見ただけでは内容が把握しづらく、データの傾向や特徴を見落としてしまうことがあります。
データ整理は、いわば分析の土台作りです。しっかりとした土台があってこそ、信頼できる分析結果が得られるのです。
Excelでできる!データ整理の基本ステップ
特別なツールやプログラミングスキルがなくても、普段お使いのExcelで基本的なデータ整理は十分行えます。ここでは、未経験の方でもすぐに実践できる簡単なステップをご紹介します。
ステップ1:まずはデータを「見る」
データ整理を始める前に、まずは読み込んだデータをざっと眺めてみることが大切です。
- どのような項目(列)がありますか?
- 各項目にはどのようなデータ(数値、文字、日付など)が入っていますか?
- 見た目で明らかにおかしいデータや、空白の部分(欠損値といいます)はありますか?
- データの並び順はどうなっていますか?
データ全体を把握することで、どのような整理が必要かが見えてきます。
ステップ2:不要な行や列を削除する
分析に全く関係のない情報が含まれている行や列は、削除してしまいましょう。これにより、データ量が減り、見やすくなります。
Excelでは、行や列を選択して右クリックし、「削除」を選ぶだけで簡単に実行できます。
ステップ3:データを並べ替える
データを特定の順番に並べ替えることで、傾向や異常値を見つけやすくなります。例えば、売上データを日付順に並べ替えると、売上の推移が見えてきます。金額順に並べ替えれば、売上が特に高い、あるいは低い商品や顧客がすぐに分かります。
Excelの「データ」タブにある「並べ替え」機能を使います。特定の列(例: 日付、売上金額)を基準に、昇順(小さい順)または降順(大きい順)に並べ替えることができます。
ステップ4:重複しているデータを探す・削除する
顧客リストや商品リストなどで、同じデータが複数登録されている場合があります。このような重複データは、集計結果を歪める原因となります。
Excelには重複を削除する機能があります。「データ」タブにある「データツール」の中の「重複の削除」を使います。どの列を見て重複と判断するかを選んで実行します。ただし、意図的な重複(例: 同じ顧客が複数回購入したデータ)もあるため、削除する際は注意が必要です。最初は「重複しているデータがあるか確認する」程度でも十分です。
ステップ5:表記のゆれを直す(簡単な例)
同じ意味なのに、異なる書き方がされている場合があります(例: 「株式会社A」と「(株)A」、「東京都」と「東京」)。このような表記のゆれがあると、正しく集計できません。
件数が少ない場合は手作業で修正するか、Excelの「検索と置換」機能を使うと便利です。「ホーム」タブにあります。「検索する文字列」に元の表記、「置換後の文字列」に統一したい表記を入力して実行します。
データ整理の「完璧」は目指さない
データ整理は奥が深く、複雑なデータになると専門的な知識やツールが必要になる場合もあります。しかし、未経験の最初の段階で、最初から完璧なデータ整理を目指す必要はありません。
まずは、「分析の目的のために、最低限このデータは使える状態にしよう」という意識で取り組んでみてください。
まとめ:データ整理は分析の第一歩
データ分析は、いきなり高度な手法を使うことだけではありません。目の前にあるデータを理解し、分析しやすいように整える「データ整理」は、データ分析のプロセスにおいて最も基本的で、かつ最も重要なステップの一つです。
ご紹介したExcelでの方法は、あくまで基本的な整理の例です。しかし、こうした小さなステップを実践することで、データがどのように変わるのか、分析がどれだけしやすくなるのかを実感できるはずです。
データ分析のスキルを身につける旅は、まずこのデータ整理から始まります。難しく考えず、まずはあなたの手元にあるデータをExcelで開いて、「整理してみようかな」という気持ちで触ってみてください。きっと、新しい発見があるはずです。