データ分析はじめてガイド

未経験者がExcelでデータ分析をはじめる方法：準備から実践まで

はじめに：データ分析の第一歩をExcelで踏み出そう

「データ分析」と聞くと、難しそうな専門ツールやプログラミングを想像して、自分には関係ないと思っていませんか？ 実は、多くの方が普段から使っているExcelでも、十分データ分析の基本的な考え方や手法を学ぶことができます。

このサイトは、データ分析の経験が全くない方が、ゼロから基礎を学ぶためのガイドです。今回の記事では、特に身近なツールであるExcelを使って、データ分析の第一歩を踏み出す方法を解説します。専門知識は一切不要です。一緒に、データからビジネスのヒントを見つけ出す楽しさを体験してみましょう。

なぜExcelでデータ分析を始めるのが良いのか？

データ分析の世界には様々なツールがありますが、未経験者の方が最初の一歩としてExcelを選ぶことにはいくつかのメリットがあります。

• 高い普及率: 多くのビジネスパーソンにとって、Excelは日常的に使用するツールです。新しいツールの使い方を覚えるハードルが低いでしょう。
• 直感的な操作性: データの入力、編集、簡単な計算などは、マウス操作や分かりやすいメニューで行えます。
• 基本的な機能の網羅: データの集計、並べ替え、グラフ作成など、データ分析の基礎となる機能が揃っています。

もちろん、専門的な分析にはより高度なツールが必要になる場合もありますが、まずはExcelでデータの扱いに慣れ、基本的な分析の考え方を身につけるのが効率的です。

Excelでできるデータ分析の基本とは？

Excelを使ったデータ分析で、具体的にどのようなことができるのでしょうか。いくつか基本的な例をご紹介します。

1. データの整理・加工:

   • 入力ミスがないか確認したり（データのクレンジング）、不要な行や列を削除したりします。
   • データを特定の条件で並べ替えたり、フィルターを使って絞り込んだりします。
   • 複数のシートやファイルに分かれたデータを一つにまとめたりもします。
   • （補足：データのクレンジングとは、分析に不要な情報を取り除いたり、表記の揺れを統一したりして、データを綺麗に整える作業のことです。）

2. データの集計:

   • 特定の項目（例: 商品カテゴリ別、地域別など）ごとに、売上合計や個数などを計算します。
   • ピボットテーブルという機能を使うと、複雑な集計も簡単に行えます。
   • （例: 各支店の月ごとの売上合計を簡単に計算したい場合に役立ちます。）

3. データの可視化:

   • 集計したデータや生データを、グラフ（棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど）にして分かりやすく表現します。
   • 視覚的に傾向やパターンを捉えることで、データが持つ意味を理解しやすくなります。
   • （例: 月ごとの売上推移を折れ線グラフで見れば、売上が伸びているのか、落ち込んでいるのかが一目で分かります。）

4. 簡単な分析・計算:

   • SUM（合計）、AVERAGE（平均）、COUNT（個数）といった基本的な関数を使って、データの要約統計量を計算します。
   • IF関数などを使って、特定の条件を満たすデータを数えたり、合計したりすることも可能です。

これらはExcelでできることのごく一部ですが、ビジネスにおける多くの場面で役立つ基礎的な分析です。

データ分析を始める前の準備：まずはデータを整える

データ分析を始める上で最も大切なことの一つは、「分析したいデータを適切に準備すること」です。どんなに優れたツールを使っても、元になるデータが間違っていたり、整理されていなかったりすると、正しい分析結果は得られません。

1. どのようなデータが必要か考える:

   • まず、「何を知りたいのか？」「どんな課題を解決したいのか？」といった目的を明確にしましょう。目的によって、集めるべきデータは変わってきます。
   • （例: 「どの地域で特定の商品がよく売れているか知りたい」なら、売上データに加えて、購入者の地域情報が必要になります。）

2. データを収集し、Excelに入力・取り込む:

   • 社内システムから出力されたデータ、アンケート結果、Webサイトのアクセスログなど、目的のデータを用意します。
   • CSVファイルやテキストファイル形式のデータは、Excelに取り込むことができます。
   • 手入力する場合は、正確性を心がけましょう。

3. データを整理する（クレンジング）:

   • Excelに取り込んだデータが、分析しやすい形式になっているか確認します。
   • 行と列の形式: 1行に1件のデータが入力され、各列に項目名（ヘッダー）が付いている形式が理想的です。
   • 入力ミスや表記ゆれ: 「株式会社」と「(株)」、「東京都」と「東京」のように、同じ意味なのに違う表記になっていないか確認し、統一します。空白や不要な記号なども修正します。
   • 欠損値（データがないセル）: データがない箇所が分析に影響するかどうかを判断し、必要に応じて補完するか、そのデータをどう扱うか決めます。
   • 重複データの削除: 同じデータが複数行存在する場合は、重複を削除します。Excelの「データ」タブにある「重複の削除」機能などが役立ちます。

このデータ準備の段階は、一見地味ですが非常に重要です。丁寧に行うことで、その後の分析がスムーズに進み、信頼性の高い結果が得られます。

Excelを使ったデータ分析の具体的な手順（入門編）

データが整理できたら、いよいよ分析を始めましょう。ここでは、未経験者の方が取り組みやすい基本的な手順をいくつかご紹介します。

1. データを集計する（ピボットテーブルを使ってみよう）

ピボットテーブルは、大量のデータを項目別に集計・分析するのに非常に便利な機能です。

• 使い方（イメージ）:
  1. 集計したいデータの範囲を選択します。
  2. 「挿入」タブから「ピボットテーブル」を選びます。
  3. 新しいワークシートにピボットテーブルが作成されます。
  4. 画面右側に表示されるフィールドリストから、集計したい項目（例: 「商品名」「地域」「売上」など）を、「フィルター」「列」「行」「値」といったエリアにドラッグ＆ドロップします。
  5. （例: 「行」に「地域」、「値」に「売上合計」をドラッグすると、地域ごとの売上合計が自動で計算されます。「列」に「商品カテゴリ」を追加すれば、地域×商品カテゴリ別の売上合計が表示されます。）
• ここがポイント: ドラッグ＆ドロップするだけで、様々な切り口で集計結果を瞬時に確認できます。まずは色々な項目を配置してみて、データのパターンを探ってみましょう。

2. データを可視化する（グラフを作成してみよう）

集計結果や元のデータをグラフにすることで、数値だけでは気づきにくい傾向や比較が容易になります。

• 使い方（イメージ）:
  1. グラフにしたいデータ範囲を選択します。
  2. 「挿入」タブから、作成したいグラフの種類（縦棒グラフ、折れ線グラフなど）を選びます。
  3. 選択したデータに基づいたグラフが表示されます。
  4. （例: 月ごとの売上データの範囲を選択して折れ線グラフを作成すれば、売上推移が視覚的に把握できます。）
• ここがポイント: どんな情報を伝えたいかによって、最適なグラフの種類を選びましょう。項目間の比較なら棒グラフ、時間の流れによる変化なら折れ線グラフなどが適しています。グラフのタイトルや軸ラベルを分かりやすく設定することも大切です。

3. 簡単な分析を行う（基本関数を試してみよう）

ピボットテーブルやグラフだけでなく、関数を使ってより詳細な分析を行うことも可能です。

• COUNTA関数: データが入力されているセルの数を数えます。
• SUMIF関数: 特定の条件を満たすセルの合計を計算します。（例: 「地域」が「東京」である行の「売上」だけを合計する）
• AVERAGEIF関数: 特定の条件を満たすセルの平均を計算します。（例: 「商品カテゴリ」が「家電」である商品の「利益率」の平均を計算する）
• ここがポイント: これらの関数は、特定の条件に基づいた集計を行うのに役立ちます。Excelのヘルプ機能で関数の使い方を調べながら、少しずつ慣れていきましょう。複雑な数式をいきなり組む必要はありません。

データ分析の結果をどう活かすか？

分析で終わりではありません。得られた結果を理解し、それをどのようにビジネスに役立てるかが最も重要です。

• 結果の解釈: グラフや集計結果を見て、「これは何を意味しているのだろう？」と考えます。（例: 「特定期間に売上が急増している原因は？」「この商品の購入者の多くが特定の地域に集中しているのはなぜ？」）
• 示唆の発見: データから得られた気づき（示唆）をまとめます。（例: 「A地域でB商品の売上が特に伸びている」「SNS広告経由のアクセスが多いが、購入につながっていない」）
• アクションへの連携: 得られた示唆に基づき、具体的な次の行動を考えます。（例: 「A地域でのB商品の販売促進を強化しよう」「SNS広告のクリエイティブを見直そう」）
• 伝える力: 分析結果とそこから導き出された示唆を、関係者に分かりやすく伝えることも重要です。作成したグラフや集計表を活用しましょう。

データ分析は、単に数字をいじるだけでなく、そこから意味を読み取り、行動につなげる一連のプロセスです。

まとめ：まずは手元にあるExcelで始めてみよう

この記事では、データ分析の第一歩として、Excelを使った基本的な方法をご紹介しました。

• Excelは身近で操作しやすく、データ分析の基礎を学ぶのに適したツールです。
• まずは「何を分析したいか」を明確にし、データを綺麗に整理することから始めましょう。
• ピボットテーブルを使った集計や、グラフでの可視化など、Excelの機能を活用してデータの傾向を捉えましょう。
• 分析結果からビジネスのヒントを見つけ出し、次の行動につなげることが重要です。

未経験の方にとって、データ分析は未知の領域かもしれませんが、まずは普段使い慣れているExcelで、手元にあるデータを触ってみることから始めてみてください。簡単な分析でも、きっと新しい発見があるはずです。

次のステップとしては、より複雑な分析手法を学んだり、Excel以外のツールについて情報を集めたりすることが考えられます。このサイトでは、これからもデータ分析の基礎を分かりやすく解説する記事を公開していきますので、ぜひ引き続きご覧ください。