データ分析の結果をパッと理解!可視化の基本とExcelでの簡単なステップ【入門】
データ分析の結果、数字だけ見ていませんか?
データ分析を行うと、たくさんの数字が出てきます。例えば、「前年比120%」「平均購入金額3,500円」「A商品の販売数がB商品の2倍」といった具体的な数値です。
もちろん、これらの数字は非常に重要です。しかし、数字が羅列されているだけでは、データ全体の傾向や隠れた特徴を掴むのが難しい場合があります。例えば、ある商品の売上がどのように変化しているのか、地域によって顧客の年齢層に違いがあるのか、といったことを数字の表だけで読み解くのは、経験がないと時間がかかったり、見落としがあったりします。
ここで役立つのが、「データの可視化」です。
データの可視化とは?
データの可視化とは、簡単に言うと「データをグラフや図にすることで、目で見える形にすること」です。
数字の表をグラフに変えることで、データの持つ意味やパターン、傾向などを直感的に理解しやすくします。人間は文字や数字よりも、図や色といった視覚情報の方が情報を素早く、正確に処理できるからです。
なぜデータ分析に可視化が必要なのでしょうか?
可視化が必要な理由はいくつかあります。
- 傾向やパターンが分かりやすい: 数字の羅列からは見えにくい、データの増減の傾向、周期性、特定の期間に何かが起こっている、といったパターンが一目で分かります。
- 異常値に気づきやすい: 平均から大きく外れたデータや、通常とは異なる動きをしているデータ(これを「異常値」と呼ぶことがあります)を見つけやすくなります。
- データ同士の関係性を理解しやすい: 例えば、広告費を増やしたら売上がどう変化したか、といった二つのデータの関係性をグラフで見ると、関連があるのか、どの程度関連があるのかが分かりやすくなります。
- 情報を他人に伝えやすい: 分析結果を上司や同僚に説明する際に、数字の表を見せるよりも、グラフを見せた方がはるかに理解してもらいやすくなります。ビジネスの現場では、分析結果を共有し、次の行動に繋げることが重要ですので、これは非常に大きなメリットです。
可視化で「何」を見れば良い?基本的な視点
可視化は単にグラフを作るだけでなく、そのグラフから「何を読み取るか」が重要です。入門レベルで意識したい基本的な視点をいくつかご紹介します。
- 変化・推移: 時間と共にデータがどう変化しているか(例: 月ごとの売上推移)。
- 比較: 複数の項目や期間でデータを比較する(例: 商品Aと商品Bの売上比較、今年の売上と去年の売上比較)。
- 分布: データがどのように散らばっているか、どこに集中しているか(例: 顧客の年齢層の分布)。
- 割合・構成: 全体に対して各項目がどのくらいの割合を占めているか(例: 商品カテゴリーごとの売上構成比)。
- 関係性: 二つのデータの間にどのような関係があるか(例: 広告費と売上の関係)。
これらの視点を意識しながらグラフを見ると、データから様々な発見が得られるようになります。
Excelで始めるデータの可視化:簡単なステップ
データ分析の入門としてExcelをお使いの方も多いと思います。Excelは基本的なグラフ作成機能が充実しており、手軽にデータの可視化を始めるのに最適です。
ここでは、簡単な例として「月ごとの売上推移」を折れ線グラフで可視化する手順をご紹介します。
準備するもの:
- Excelファイルに記録されたデータ(例: A列に「月」、B列に「売上」の数字が入った表)
可視化のステップ:
- 可視化したいデータの範囲を選択します。
- 上記の例であれば、「月」と「売上」の列のデータが入っている部分全てを選択します。表のタイトル行(「月」「売上」と書かれたセル)も含めて選択すると、グラフの項目名に利用されて便利です。
- Excelのリボンメニューから「挿入」タブをクリックします。
- 「グラフ」グループの中から、作りたいグラフの種類を選択します。
- 月ごとの推移を見たいので、「折れ線グラフ」のアイコンをクリックします。様々な種類の折れ線グラフが出てきますので、一番基本的な「2-D折れ線」などを選んでみましょう。
- 選択したグラフがシート上に表示されます。
- これでデータの可視化は完了です。グラフを見ると、売上がどのように変化してきたのかが線となって表示され、数字の表よりもずっと分かりやすくなっているはずです。
- 必要に応じてグラフを編集します。
- グラフのタイトルを分かりやすいものに変えたり、軸の表示を調整したり、色を変えたりすることで、さらに見やすく、伝えたい内容が伝わるグラフにすることができます。グラフエリアをクリックすると、「グラフのデザイン」や「書式」といったタブが表示され、様々な編集が可能です。
棒グラフであれば「縦棒グラフ」や「横棒グラフ」を選び、構成比を見るなら「円グラフ」を選ぶなど、見たい内容に応じて適切なグラフを選ぶことが大切です。Excelには様々な種類のグラフが用意されていますので、まずは基本的なものから試してみましょう。
可視化する際のちょっとした注意点
可視化は非常に強力なツールですが、注意点もいくつかあります。
- 目的に合ったグラフを選ぶ: 見たい内容(推移、比較、構成など)によって適したグラフの種類が異なります。間違ったグラフを選ぶと、データの傾向が分かりにくくなったり、誤解を招いたりすることもあります。
- 軸の表示に注意する: グラフの縦軸や横軸の範囲(スケール)を調整することで、データの変化が大きく見えたり、小さく見えたりすることがあります。意図的に誤解を招くような表現は避け、正確な情報が伝わるように注意しましょう。
- 情報を詰め込みすぎない: 一つのグラフにあまり多くの情報を入れすぎると、かえって分かりにくくなります。シンプルで伝えたいことが明確なグラフを心がけましょう。
これらの注意点も、実際にグラフを作ってみながら、少しずつ慣れていくのが良いでしょう。
まとめ
データ分析における「可視化」は、数字の羅列を分かりやすいグラフや図に変えることで、データの理解を深め、効果的に伝えるための重要なステップです。
未経験者の方でも、まずはExcelを使って基本的なグラフ作成から始めてみてください。月ごとの売上や日々のアクセス数など、身近なデータをグラフにしてみるだけでも、これまで気づかなかった傾向や特徴が見えてくるはずです。
可視化を通して、データが持つストーリーを読み解く力をぜひ身につけていきましょう。