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Excelで簡単!データ分析の基本「構成比」を計算する方法【入門】

Tags: データ分析, 構成比, Excel, 入門, 計算方法

はじめに:なぜ「割合」を見るのが重要なのか?

データ分析を始める際、「全体のうち、ある項目がどれくらいの割合を占めているのか?」を知りたい場面はよくあります。例えば、「全売上の中で特定の商品カテゴリが占める割合」や、「全顧客のうち特定の年代層が占める割合」などです。

なぜ、このように「割合」に注目することが重要なのでしょうか?それは、数字そのものだけでなく、全体に対する比率を見ることで、物事のバランスや特徴、変化をより正確に理解できるからです。例えば、ある商品の売上が100万円増えたとしても、全体の売上が1億円増えた中での100万円なのか、それとも全体の売上が1000万円増えた中での100万円なのかでは、その商品の貢献度の意味合いが大きく変わってきます。

データ分析の世界では、このような「全体に対する各項目の割合」を「構成比」と呼び、基本的な分析手法の一つとして非常に頻繁に活用されています。

この「構成比」は、実はExcelを使えば誰でも簡単に計算できます。この記事では、構成比の基本的な考え方から、ビジネスでどのように役立つのか、そしてExcelを使った具体的な計算方法までを、初心者の方でも分かりやすいように解説していきます。

データ分析における「構成比」とは?

構成比の定義を理解する

構成比とは、ある「全体」を構成する「部分」が、その「全体」に対してどれくらいの割合(パーセント)を占めているかを示す数値です。

計算式はとてもシンプルです。

構成比(%) = (部分の数値 ÷ 全体の数値) × 100

例えば、クラス全体が40人いて、そのうち男子が25人だった場合、男子の構成比は (25人 ÷ 40人) × 100 = 62.5% となります。

身近な例で考える

ビジネスシーンで構成比が使われる代表的な例をいくつか見てみましょう。

これらの構成比を見ることで、「どの商品が売上の中心か」「コストの大部分は何に使われているか」「主要な顧客層は誰か」といった、ビジネスの現状を把握する手助けになります。

なぜ構成比を見る必要があるのか?(ビジネスでの活用例)

単に数字の合計や件数を見るだけでは分からない、構成比を見ることで得られる情報やメリットは何でしょうか。

全体の中での位置づけを知る

構成比を見る最も基本的な目的は、個々の要素が全体の中でどのような「立ち位置」にあるかを知ることです。

例えば、ある商品Aの売上が1000万円だったとします。この数字だけでは、その売上が「良い」のか「悪い」のか判断しづらいでしょう。しかし、全体の売上が5000万円で商品Aが20%の構成比を占めている、と分かれば、「全体の売上の5分の1を占める主力商品だ」と評価できます。一方、全体の売上が10億円で商品Aが1%しか占めていない、となれば、「全体への貢献度は低い」と判断できます。

変化や傾向を捉える

構成比を時系列で比較することで、全体の中で各要素の重要性がどのように変化しているかを捉えることができます。

例えば、昨年は商品Bが売上全体の30%を占めていたのに、今年は20%に下がった、という変化が見られたとします。これは、商品Bの売上が絶対額で維持されていても、他の商品の売上が伸びたために相対的な重要度が下がった、という可能性も示唆します。このように、構成比の変化を追うことで、市場の変化や顧客の嗜好の変化、競合の影響などを推測する手がかりになります。

Excelを使って構成比を計算する方法

特別なツールやプログラミングは必要ありません。普段使い慣れているExcelを使って、簡単な表データから構成比を計算してみましょう。

ここでは、以下のような、商品カテゴリ別の売上金額のデータがあるケースを例に進めます。

| 商品カテゴリ | 売上金額(円) | | :----------- | -------------: | | 食品 | 300,000 | | 日用品 | 200,000 | | 衣料品 | 150,000 | | 雑貨 | 100,000 | | 合計 | 750,000 |

この表を使って、各商品カテゴリの売上構成比を計算してみます。

事前準備:データの確認

まず、構成比を計算したい「部分」となる数値(ここでは各カテゴリの売上金額)と、「全体」となる数値(ここでは合計売上金額)があることを確認します。もし合計がない場合は、ExcelのSUM関数などを使って合計を計算しておきましょう。

上記の例では、すでに合計金額(750,000円)が計算されています。

計算式:求め方の基本

構成比は、「部分 ÷ 全体」で求められます。計算結果をパーセント表示にするためには、さらに100をかけるか、Excelの表示形式を「パーセント」にします。Excelでは後者の表示形式を使うのが一般的です。

具体的な計算例

上記の表データがExcelのA列とB列に入力されているとします。合計金額はB6セルに入力されています。構成比をC列に表示させましょう。

  1. 計算式の入力:

    • 食品の構成比を計算したいセル(例:C2セル)に、以下の計算式を入力します。 =B2/B6 これは「食品の売上金額(B2セル)を全体の売上金額(B6セル)で割る」という意味です。
    • ここで重要なのは、「全体の数値」であるB6セルを固定することです。他のカテゴリ(日用品、衣料品など)の構成比を計算する際に、常に全体の合計(B6セル)を参照するようにするためです。セルを固定するには、セル参照に$マークをつけます。WindowsならF4キー、MacならCommand + Tキーを押すと自動でつきます。 =B2/$B$6 このように入力してください。
  2. 計算式のコピー:

    • C2セルに正しい計算式(=B2/$B$6)が入力できたら、このセルを選択し、セルの右下隅にあるフィルハンドル(小さな四角)を、計算したい一番下のカテゴリの行(ここでは雑貨のC5セル)までドラッグしてコピーします。
    • または、C2セルを選択してコピー(Ctrl+C または Command+C)し、C3セルからC5セルを選択して貼り付け(Ctrl+V または Command+V)ても構いません。
  3. パーセント表示にする:

    • C2セルからC5セルまでを選択します。
    • Excelのリボンメニューの「ホーム」タブにある「数値」グループの中から、「%」(パーセントスタイル)ボタンをクリックします。
    • 必要に応じて、小数点以下の桁数を増減させて見やすく調整してください。

これで、各商品カテゴリの売上構成比が計算され、表示されます。

| 商品カテゴリ | 売上金額(円) | 構成比(%) | | :----------- | -------------: | -----------: | | 食品 | 300,000 | 40.0% | | 日用品 | 200,000 | 26.7% | | 衣料品 | 150,000 | 20.0% | | 雑貨 | 100,000 | 13.3% | | 合計 | 750,000 | 100.0% |

合計の構成比が100%になっていることを確認しましょう。(計算誤差で100%にならない場合は、小数点以下の表示桁数を調整してみてください)

計算した構成比から何がわかるのか?(簡単な解釈例)

上記の例で計算された構成比から、以下のようなことが分かります。

このような構成比を見ることで、「食品と日用品が売上の主力であり、これらのカテゴリの動向を重点的に追うべきだ」「雑貨の売上を伸ばすための施策を検討する必要があるかもしれない」といった、次のアクションを考えるヒントが得られます。

まとめ:構成比活用の第一歩を踏み出しましょう

今回は、データ分析の基礎である「構成比」について、その意味やビジネスでの役立ち方、そしてExcelを使った簡単な計算方法をご紹介しました。

構成比は、全体の中での各要素の重要度を把握したり、時間の経過による変化を捉えたりするのに非常に役立ちます。そして、難しい知識は一切不要で、普段お使いのExcelで手軽に計算できる分析手法です。

まずは、お仕事で扱っている身近なデータ(売上データ、経費データ、顧客データなど)を使って、構成比を計算してみてはいかがでしょうか。数字を「割合」という視点から見ることで、きっと新しい発見があるはずです。

構成比の計算は、データ分析を始めるための小さな、しかし確実な第一歩となります。ぜひ、あなたのビジネスに活かしてみてください。