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データ分析でビジネスの『隠れた課題』を見つけ出す考え方【入門】

Tags: データ分析, 課題発見, ビジネス, 入門, 考え方, Excel

データ分析は、単に数字を集計したりグラフを作ったりするだけでなく、ビジネスの現状を正しく理解し、改善のための手がかりを見つける強力な手段です。特に、表面的なデータだけでは気づきにくい「隠れた課題」を見つけ出すことが、データ分析の重要な役割の一つと言えます。

この隠れた課題を見つけ出すことで、「なぜ最近、売上が伸び悩んでいるのだろう?」「特定のお客様が離れていっているのではないか?」といった、漠然とした疑問に対する答えや、具体的な改善策のヒントを得ることができるようになります。

この記事では、データ分析の経験がない方に向けて、ビジネスの『隠れた課題』をデータから見つけ出すための基本的な考え方と、そのステップをご紹介します。

表面的なデータと『隠れた課題』

私たちの周りには様々なデータがあります。例えば、日々の売上金額、ウェブサイトへの訪問者数、商品の在庫数などが挙げられます。これらのデータは、ビジネスの「今」や「過去の動き」を示してくれます。

しかし、これらの表面的な数字を見ているだけでは、「なぜその数字になったのか?」という理由や、その数字の裏に潜む問題の本質は見えてこないことがあります。例えば、売上金額が下がったというデータだけでは、何が原因で下がったのか分かりません。

ここで重要になるのが、データの裏側にある『隠れた課題』に目を向けることです。隠れた課題とは、単なる結果としての数字ではなく、その結果を引き起こしている原因や、特定の状況下でのみ現れる問題点などを指します。

データ分析の力を使うことで、この隠れた課題に光を当て、ビジネスの本当の課題を特定できるようになるのです。

隠れた課題を見つけ出すための基本的な考え方

では、具体的にどうすればデータから隠れた課題を見つけ出すことができるのでしょうか。いくつかの基本的な考え方をご紹介します。

1. 「なぜ?」を問い続ける姿勢を持つ

データを見て、「この数字はどういう意味だろう?」「なぜこうなっているのだろう?」と常に疑問を持つことが出発点です。例えば、「先月の売上が10%下がった」というデータを見たとき、「なぜ下がったのだろう?」と疑問を持つことから分析は始まります。

2. 多角的な視点でデータを見る

一つのデータを様々な角度から見てみることが大切です。例えば、売上データを見る場合でも、単に合計金額を見るだけでなく、以下のような切り口で見てみます。

このように、データを「分解」したり「比較」したりすることで、全体では気づかなかった特定の期間、特定の顧客層、特定の商品などに課題が潜んでいることが見えてくることがあります。

3. 仮説を持ってデータに向き合う

「もしかしたら、特定のAという商品の売上が落ちているのではないか?」「B地域のお客様が減っているのではないか?」といった、自分なりの「仮説」(こうなっているのではないか?という仮の答えや推測)を持ってデータを見ることで、着目すべきポイントが明確になり、効率的に分析を進めることができます。

もちろん、データ分析の結果、仮説が間違っていたということもよくあります。それは全く問題ありません。データによって仮説が検証され、新たな気づきを得ることが重要だからです。

Excelでもできる!隠れた課題発見のステップ

特別なツールを使わなくても、普段使い慣れているExcelでも、隠れた課題を見つけ出すための基本的なステップを実践できます。

ステップ1:漠然とした「気になること」からスタート

まずは、「最近、どうも成績が伸び悩んでいる気がする」「お客様からの問い合わせ内容に変化があったようだ」といった、ビジネスにおける漠然とした疑問や「気になること」を起点にします。これが、課題発見の第一歩です。

ステップ2:関連するデータを集めてみる

ステップ1で考えた「気になること」に関連しそうなデータを集めます。例えば、売上、顧客リスト、問い合わせ記録、Webサイトのアクセス履歴など、手元にあるデータや収集可能なデータを準備します。Excelで管理されているデータや、CSV形式などでエクスポートできるデータがあると扱いやすいでしょう。

ステップ3:データを様々な角度から「分解」「比較」してみる

集めたデータを、先ほどご紹介したような多角的な視点から見てみます。

これらの操作を通じて、「特定のカテゴリの売上が急に落ちている」「〇〇地域だけ新規顧客の獲得数が前月より大きく減っている」といった具体的な「気づき」を探します。これが、隠れた課題の入り口となります。

ステップ4:見つかった「気づき」を言語化し、仮説として記録する

ステップ3で見つかった具体的な気づきを、「〇〇という商品カテゴリの売上が、先月から20%減少している」「××地域では、リピーターからの注文が顕著に減っているようだ」のように、明確な言葉で書き出します。

そして、その気づきから考えられる原因や問題点を「仮説」として立ててみます。「もしかしたら、〇〇商品の品質に問題が出たのかもしれない」「××地域では、競合の新しいサービスが影響しているのではないか?」といった具合です。

この段階では、仮説が正しいかどうかは分かりません。しかし、この仮説こそが、次にどのようなデータを集め、どのように分析を進めるべきかの重要な指針となります。

まとめ:隠れた課題発見は「問い」から始まる

データ分析でビジネスの隠れた課題を見つけることは、決して難しい特別な技術だけが必要なのではありません。

最も大切なのは、「なぜ?」という疑問を持つ好奇心と、データを様々な角度から見てみる粘り強さです。

普段使っているExcelのようなツールでも、データを分解したり比較したりする基本的な操作をマスターすれば、表面的な数字だけでは見えなかったビジネスの新たな一面が見えてくるはずです。

まずは、身近なデータから「何か気になること」を見つけ、「なぜ?」を問いかけながら、この記事で紹介した考え方とステップを試してみてください。データはきっと、あなたのビジネスをより良くするための『隠れた課題』と、その解決のヒントを教えてくれるはずです。

次のステップとして、立てた仮説が正しいのかどうかをさらに詳しく検証する方法を学ぶと、より確度の高い課題特定や改善策の立案に繋がるでしょう。データ分析の学びをさらに進めていきましょう。